今年の冬から近所の友人らと映画の上映会をしている。発案者はJ君の奥様。月に一度、金曜の晩に公共の視聴覚室を借りて、持ち回りで映画を持ってくる。軽くお酒を引っ掛けてつまみを持ち寄って観覧するだけ。時々観覧後に皆で居酒屋になだれ込む。普段なら観ない映画も友人のお勧めだからしっかり観ると、なかなかよい映画だったと知る。今月は私の番だったので「LIFE」という映画を選んでみた。劇場でも一度見ており、僕らの世代にはなかなかお勧めなので是非。
さて突然ですが今回は竿の話を・・・。いつもの釣りの話は進むものの、ロッドの話(仕事の)となると億劫で先延ばしにしていましたが、少しずつ書いてみたいと思っています。
現在のグラファイトロッドと言うものは基本的にプリプレグと言われる炭素繊維に熱硬化性のレジン(接着剤)を染み込ませたカーボンシートを使い、これをマンドレル(テーパー状の芯金)に巻きつけて、耐熱性のポリプロピレンのテープで固定した上でオーブンで焼き固める。そして焼きあがった後、ポリプロピレンテープを剥がし、マンドレルからカーボンシャフトを抜くことになる(脱芯)。この工程を経て出来上がったものがブランクといわれるロッドの根本をなすシャフトですね。
芯金のマンドレルがブランクの基本となるテーパーで、こちらで設計したものを作ってもらっている。(マンドレルのテーパーが全てのアクションを決定付けてしまうかと言えばそんなことはなく、積層するプリプレグの種類やプライ数、補強によって如何様にもなる)はじめは試行錯誤でさまざまなテーパーのものを作ったが、トップなどはある程度の寸法で限界がある。極限まで細いティップを試みて、マンドレルもそのように設計したものは脱芯の際あまり細いとマンドレルの先端がカールしてしまう。つまり耐用が極端に落ちて、型の再利用がままならない。それにブランク自体も強度が落ちるので、あまり意味の無いことが分かった。
これはあえて中空のブランクにする意味が無く、現在ではUG6773などで採用しているソリッドティップが細軸に対応しているので、強度、アクションともに申し分ない。とは言うものの、現行のグラファイトロッドの中でもカムパネラのティップは細いものが多い。この部分の製造はここまで細軸だと機械では無理なので、カムパネラは全て手作業。
マンドレルの設計はなかなか難しくロッドのアクションもさることながら、脱芯のしやすい形状や強度、固定器具とのマッチング、シリーズとしての応用度の高さなど、すべてをクリアーしたマンドレルで仕上がったブランクが狙ったアクションになれば、デカイ魚が釣れたときよりも興奮してしまうものですが、結構失敗も多いものです。つづく。石川
少し前の写真。大荒沢で釣れないのでふて寝。どこでも寝てしまう。そのうちヘビにかまれるだろう。BTHR菊地さん撮影