バンブーロッドはあらゆるビルダーによってさまざまな試みがなされてきましたが、その一つが素材の肉抜きや軽量化かも知れない。
カーボン素材はプリプレグだけでも用途に合ったマテリアルを自由に選べる上、それらを組み合わせるだけでも無限の可能性を秘めている。しかしトンキンという素材そのものは基本的に1種類で自然素材がゆえに個体差はあるものの自由に選ぶことが出来ない。そこで「最近はバンブーロッドを中空にしたり軽量化することで、出来る限りカーボンロッドに肉薄しようと躍起になっていたのではないだろうか・・・」ということをと宇田の友人であるとある方がかなり前に言っていた。なるほどと思った。
しかしトンキンケーンはフライロッドにおいては優れた素材の一つであることは間違いない。あるシチュエーションにおいてはカーボンをしのぐ使い心地を与えるのでバンブー愛好家は今だ衰えないのではないだろうか。
実はこの宇田が作ったロッドを振ってみて、トンキンが素材として優れていると改めて実感した次第。4ピースのロッドはすべてのフェルールをカーボンで製作し、フェルールの重量が半減したことでトンキン本来の素性の良さがはっきりと体感できる。カーボンも同じようにすべてソリッドにしたら重すぎて振るには耐え難いロッドになるはずだ。
正直、トンキンがこれほど軽く、強い反発力を持つ素材であるとは思わなかった。決して金属フェルールが悪いというわけではなく、カーボンにすることが最良とは断じてないけど、ちょっとにやけてしまうアクションではあった。石川